経営状況分析Y評点は、赤字・借入金・自己資本・利益率・資金繰りなど、決算書の内容によって大きく変動します。通常の改善だけでは次回のランクダウンを防げない可能性が高い場合、決算月の変更によって決算期間そのものを見直し、経営状況分析を再設計する方法があります。
決算月変更は、単に「決算日を変えればY評点が上がる」という単純な方法ではありません。会社法上・税務上・経審上の手続、決算期間、申告時期、経営状況分析を受けるタイミング、許可・入札参加資格・格付審査の基準日など、複数の要素を同時に検討する必要があります。
しかし、「このまま次の決算を迎えるとY評点が大きく下がり、総合評点Pや格付ランクに影響することがほぼ確実」という会社にとっては、検討すべき有力な選択肢の一つです。
Y評点は、完成工事高だけではなく、企業の財務内容を複数の指標から分析して算出されます。そのため、売上や利益が一時的に落ち込む年度、大きな設備投資や借入が発生した年度、未成工事支出金・工事未払金・短期借入金などが膨らむ時期によっては、決算日を迎えるタイミングそのものがY評点に大きな影響を与えることがあります。
決算月を変更することにより、短期決算となる場合があります。これにより、現在の悪化要因をそのまま12か月分抱えた通常決算に進むよりも、財務内容を整理する期間や次回改善策を実行する時期を組み替えられる場合があります。
決算期変更を行うと、その後の次期決算までの期間設計が変わります。利益確保、借入圧縮、自己資本改善、回収促進、不採算工事整理など、Y評点改善策を次の経審に反映させるための時間を確保できることがあります。
自治体・発注機関によって、格付や主観点審査の基準日・申請時期・経審結果通知書の有効要件は異なります。決算月変更を行う場合は、単に決算日だけでなく、入札参加資格申請のスケジュールまで逆算します。
最終目的は「Y評点を上げること」ではありません。総合評点P、工種別順位、主観点、格付基準を見ながら、必要なランクを維持し、公共工事の受注機会を守ることです。
まず現在の経営状況分析結果を確認し、どの指標がY評点を押し下げているかを特定します。単に総合点だけを見るのではなく、収益性、効率性、財務健全性、絶対的力量など、各指標の変化を確認します。
試算表、借入金残高、完成工事高、利益見込、減価償却、税引後利益、自己資本、売掛・買掛などを基に、次回の経営状況分析Y評点を事前計算します。ここで、現状のまま決算した場合のP点・ランクを予測します。
利益確保、不要資産の整理、回収促進、借入金返済、役員借入金の整理、工事原価管理、未成工事支出金の整理、固定費削減など、通常の決算対策でランクを維持できるかを確認します。
変更後の決算期間、決算書の数値見込、経営状況分析を受ける時期、経審申請時期、入札参加資格・格付審査時期を一本のスケジュールにします。「変更した場合」と「変更しない場合」を比較し、どちらが有利かを数値で判断します。
定款、株主総会等の社内手続、税務署等への届出、消費税・法人税の申告スケジュール、建設業許可・経審への影響などを、税理士・行政書士等とも連携しながら確認します。
決算月変更だけで終わらせず、その後の次期決算でY評点を改善し、必要なP点・主観点・工種別ランクを確保する改善計画まで作成します。
| 注意点 | 確認すべき内容 |
|---|---|
| 短期決算になる場合 | 売上・利益・完成工事高の期間が短くなるため、別の指標や経審項目に影響が出ないかを確認します。 |
| 経営状況分析の時期 | 変更後の決算書でいつ分析を受け、いつ経審結果通知書を取得できるかを確認します。 |
| 入札参加資格・格付審査 | 発注機関ごとに基準日や必要書類、経審の有効性の扱いが異なるため、自治体ごとに確認が必要です。 |
| 税務申告 | 事業年度変更に伴う法人税・消費税等の申告時期や納税資金を確認します。 |
| 完成工事高との関係 | 工事完成時期によっては完成工事高や利益が想定より少なくなる場合があります。 |
| 変更後の次年度対策 | 一時的な回避だけでなく、翌期以降のY評点を本質的に改善する計画が必要です。 |
経営状況分析Y評点が下がっても、総合評点P・技術力Z・社会性W・その他審査項目、さらに自治体の主観点や格付基準との組み合わせによっては、ランクを維持できる場合があります。逆に、Y評点だけを改善しても、他の項目が下がればランク維持につながらない場合があります。
次回決算の試算表をもとに、経営状況分析の変化を予測します。
Y・X・Z・W等の変化を反映し、工種別P点を確認します。
現在のランク境界と比較し、降格リスクを確認します。
決算月変更、利益改善、借入金圧縮、技術者、ISO、主観点などから、効果の高い順に対策を整理します。
A. 必ず上がるわけではありません。変更後の決算期間や利益、借入金、自己資本、完成工事高等によっては、期待した効果が出ない場合もあります。事前計算が不可欠です。
A. 税務上の手続は税理士の専門分野ですが、経審のY評点・P点・格付・主観点まで含めた判断には、経審特有の視点が必要です。税務と経審を分けず、双方を確認することが重要です。
A. 可能であれば決算の数か月前です。決算直前や決算後では、打てる対策が限られます。ランクダウンの可能性を感じた段階で、早めに試算することをお勧めします。
A. はい。決算月変更は最後の選択肢の一つです。通常の財務改善、経審各項目の改善、ISO・技術者・主観点対策なども含め、最も現実的な方法を比較します。
決算月変更を行うかどうかを決める前に、まず次回Y評点と総合評点Pを試算し、本当にランクダウンが避けられないのかを確認します。そのうえで、通常の改善で足りるのか、決算月変更まで検討する必要があるのかを整理します。
ご相談時にご用意いただきたい資料
直近の経営状況分析結果通知書/経審結果通知書/直近決算書/最新試算表/借入金残高が分かる資料/次回決算までの売上・利益見込
ランクダウンしてからではなく、ランクダウンする前に対策する。
経審・Y評点対策について問い合わせる有限会社 都城情報ビジネス 建設業経営・経審・ISOコンサルティング
※実際の決算期変更・税務・会社法・許認可手続については、必要に応じて税理士・行政書士等の専門家と連携して確認してください。